儚い愛を貴方と…
「棗…ねぇ、一緒に暮らそ?」

そう言いながら、彼女は俺の手を握った。

「でも君は‥人間じゃないんだろ?生活の仕方は違うんじゃないか?」

俺が問い掛けると、一瞬キョトンとしたものの、すぐにニッコリ笑って答えた。

「同じだよ。私達は自然にその地域に適した生活が出来て、そこで使われる言語が話せるようになるの。」

「そう…なんだ。」

「あと、"君"って呼ばないでよ。名前で呼んで。青藍って。」

いきなり名前で呼べと言われても、そんなの困る。
俺たちは出会ったばかりなのだから名字で呼び合うべきだろう。
そう思った俺は、取り敢えず名字で呼んでみることにした。

「…紫紺」

「え…名字で呼ぶの?」

大体予想はついていたが、予想通り‥いや、それ以上の反応を見せてくれた。
相当嫌なのだろう。
折角の綺麗な顔が台無し、と言っても過言ではない程酷い顔になっている。
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