水男(ミズオ)
亜美は勢いよく
部屋の分厚いカーテンを開けた。


すると目の前には
朝日に照らされた美しい


海の風景が広がっていた。


どこまでも青く美しい海。


キラキラと光る海は
どこまでも魅力的だった。



「水!水だ!」


朝日に光る海を見て
俊介は勢いよく立ち上がった。


手にはしっかりとママの写真が
握られている。


勢いよくバルコニーに出て
手を伸ばして海の水を取ろうとするが


もちろん取れるはずもない。


「水!水がたくさんある!

水が目の前に!」


目の前に水があるのに飲めないもどかしさで
俊介はバルコニーから身を乗り出している。


悲しい目で妖怪水男の姿を
見つめる亜美。


すると俊介の手に握られていた
ママの写真がするりと落ちた。


「あ!ママの写真が!」


慌てて写真を取ろうとする俊介。
しかしその瞬間俊介は足を滑らせた。



「さよなら」


小さくつぶやく亜美。
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