水男(ミズオ)
「刑事さん!」


俊介は平野に向かって
沈痛な面持ち。


「真理子と私は結婚の約束を
していました。


もし真理子が誰かに連れ去られたのだとしたら
私は犯人が憎い」


俊介は平野に深々と頭を下げる。


「どうか犯人を捕まえてください。
お願いします」


俊介の憔悴した様子を見て
平野は優しい笑顔でこう言った。


「最善を尽くします」


そう言った瞬間
突然平野は


会議室にいる全員を見据えた。


刑事の鋭い目を剥けられて
皆は息をのんでいる。


平野は静まり返る会議室の中
静かに口を開いた。


「ボク」





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