水男(ミズオ)
「いえ。大したことはわかりませんでした」


つぶやくように言う平野。


街路樹の緑がまぶしい夏の一日。
青空がどこまでも広がっている中


車は走り続ける。


「ウソだ」


中村はそう言って少し微笑んだ。


「平野さん何かを試すために
わざと突然会議室に行ったんでしょ?」


中村にそう言われても
顔色一つ変えない平野。

じっと目をつぶったまま動かない。


「あの中にいるんですか?」


中村の口元があの言葉を発する。


「ボク」
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