水男(ミズオ)
明るさを取り戻した高山。

でも平野が言った最後の言葉を
思い出した高山は首をひねった。


ボクは全知全能の神。


この言葉は意味が解らないなりに
なんだかボクってのは


スゴい奴的なことを
言いたいんだろうと理解はできる。


でももう一つの言葉は
まったくの意味不明。


昔の時代劇のタイトルのことだろうが
なぜぞのタイトルが

唐突にここに出てきたのが
分からない。


「必殺仕事人?
ますます訳が分からんぞ。


あのおっさんふざけてたのかな?


ウソをつかれたのかな?


あの刑事の言葉を聞いて
ますます訳が分からなくなってきた。


あああ……」


頭を抱える高山。


でもここでぼーっとしてても
何も始まらない。


高山は煙草を消して
立ち上った。


そして


残った仕事を片付けるために
またオフィスへと戻っていく。


「気まずいな。みんな俺の気持ちに
気が付いてるって本当かな?」


そうつぶやいた高山は
オフィスの中へと消えていった。

喫煙ルームの中に
多くの謎を残して。


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