涙のむこうで、君と永遠の恋をする。
ーカラカラカラ…。
「由子さん、会いに来たよ」
「こんにちわー」
あたしと渚くんは、そう言っていつものように305号室の部屋へと入る。
すると、丸椅子が1つそこにはあった。
「あれ、おか……由子さん、誰か来てたの?」
あたしは、丸椅子をもう1つ出して、お母さんに尋ねる。
すると、くまの人形を抱き抱えるお母さんは、ニッコリとあたしに笑いかけた。
「お父さんがね、会いに来たのよ」
お父さんが……って、いつもの話か。
じゃあ、この丸椅子はたまたまここにあっただけ……なのかな。
「由子さん、これ良かったら」
渚くんは、右手に持っていた紙袋の中から、花を取り出す。
それは、忘れな草だった。
渚くん、なんで忘れな草なんて…。
「あら、綺麗ねぇ……名前も知らない人なのに、もらってしまっていいの?」
「はい、俺の家、花屋なんですよ」
そう言って、渚くんは窓際に忘れな草を飾った。