たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


「……蓮司?」


「…………あ、ああ」


「何よ、うちらのこと待ってたの?」


「……まぁ、うん」



雨の日の体育館での体育の授業が終わり、教室に戻る途中で蓮司を見つけたアユちゃんが、いつものように声をかけた。


ここ最近、蓮司もまた私と同じように話していても何処か上の空のところがあって、何かを考え込むような時間も多くなった。


……せっかく、蓮司とも仲直りできたのに。


アユちゃんだってせっかく元気になったのに、こんな風に2人を悲しませて心配までかけている自分に段々と腹が立ってくる。


やっぱり、なんとかしなくちゃいけない。


少なくとも私が表情や態度に出さなければ済むことで、私はアユちゃんと蓮司という大切な友達さえ側にいてくれたなら、それでいいと本気で思ってる。


だから、私がもっとしっかりしないと。


私がもっと、強くならないと。


 
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