四百年の誓い
 「幹事長に伝えておくから。手下を伴って美月姫に怖い思いをさせるなんて、もう絶対にさせないから」


 「追い返してやるって言いたいところだけど、向こうが大人数だったら私もどうしようもないし……」


 「当たり前だ、ボブサップみたいな、身長二メートル近いボディガード。あんな奴を同行して美月姫を怖がらせるなんて、幹事長はアンフェアだ」


 美月姫は先ほどの恐怖が、今頃甦ってきた。


 巨漢の黒人ボディガード。


 やたら冷たい目をした秘書。


 そして権力者の丸山乱雪。


 優雅がいない時奴らが現れたら、美月姫は一人きりで連中と対峙しなければならないのだ。


 「私……頑張る」


 「もう美月姫に対する嫌がらせはしないよう、幹事長にきっぱり言っておくから」


 「ありがとう」


 間もなく電話を切った。


 優雅の声を聞いて、だいぶ元気になってきた。


 それでもなお、震える体を今すぐに抱きしめて欲しいと美月姫は願った。


 今すぐには無理なことなのに。
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