四百年の誓い
 (私が優雅くんを好きになったのが、そもそものトラブルの発端……?)


 京の一言に美月姫は動揺していた。


 身のほどもわきまえずに……と言われたことが、胸に深く突き刺さった。


 (私が優雅くんを好きにならなければ、こんなことにはならなかったのかもしれない……)


 愛さえあれば全て乗り越えていけると信じていた自分を、今はとても頼りなく感じた。


 「さっきも言った通り、こちらとしても余計な問題は抱え込みたくないんでね。お前の両親に優雅との関係を知らせるのは、なるべくならば避けたいのはこっちも同じだ」


 一転して京は、穏かな口調で語り出した。


 「お前がおとなしくこっちの言いなりになっていれば、万事上手くいくんだ。だから余計なことはせず、こっちに従ってればいいんだ」


 「……」


 「俺はお前にとって、申し分のない婚約者になれると思うぞ」


 その自信はどこから来るのだろうかと、内心呆れつつ、


 「絶対にありえません」


 美月姫ははっきりと答えた。


 「ほんと、一言多い女だな」


 京は苦笑しただけで、美月姫を責めることはなかった。
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