四百年の誓い
 「もったいない。こんな可愛いお嬢さんが相手なら、ラッキーと思わないか」


 「別に」


 「お前もいずれ、結婚という道を選ぶのが自然な流れだ。その際お前のみならず、丸山一族にとって最も相応しい相手を見つけ出す手助けをするのも、父親代わりとしての私の使命だがね」


 「幹事長のご命令とあらば、やむを得ないですが」


 赤信号の際、京はぷいっと顔を背け、窓の外を眺める。


 「まあまあ、意地を張るなって。このお嬢さんが可愛いことに変わりはない」


 丸山は京の肩を叩いた。


 「その可愛いお嬢さんを、もっと可愛くするために、頼むよ」


 丸山は京に、市内の高級ブティックへの道を指示していた。


 美月姫をドレスアップさせようと企んでいるらしい。
< 186 / 395 >

この作品をシェア

pagetop