四百年の誓い
 「1・2、1・2、」


 先ほどから緩やかな春風に、桜の花びらが舞っているだけだった裏庭の並木道。


 午後からの部活動が始まり、ランニング中の野球部の一団がこちらに近づいていた。


 元々男子校時代から、文武両道を掲げ一定の成果を収めていた運動部。


 共学化を機に、さらなる飛躍を目指そうと強化費が増大し、以前にもまして盛んに活動している。


 女子高時代は野球部やサッカー部など、男子主体の部は創設されていなかったので、美月姫にはとても新鮮。


 「……場所、変えようか」


 ランニング中の野球部以外にも、部活動の行き来のためか人通りが激しくなってきた。


 優雅は沈黙の妨げられたこの場を去ろうと提案する。


 「じゃ、せっかくだから近くのラッキーピエロで、お茶でも」


 美月姫は学校から近い、生徒の下校後のたまり場になっているファーストフード店を提案したのだが、


 「いや、あまり人目に付く場所はよくない」


 人目を忍んで帰省している優雅は、知り合いに遭遇する可能性のある場所は避けたいと言った。


 「それならどこにする?」


 「うちに来ない?」


 「えっ!?」
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