四百年の誓い
 一瞬の沈黙の間にも、花びらは絶え間なく降り注ぐ。


 「それは……」


 ちょっとまずいのでは、と美月姫はためらった。


 いくら高校時代の同級生とはいえ、単独でその家にお邪魔するのはあまりよくない気がした。


 加えて相手が相手。


 与党幹事長の隠し子。


 「母さん入院中で、誰もいないから問題ない」


 「そういう問題じゃなくて」


 「今こうやって、人目に付く場所で一緒にいることによって、かえって大村さんに迷惑をかけるかもしれないんだ。だから」


 公衆の好奇の目からは保護される、自宅マンションの一室でもっと話をしたいと優雅は告げた。


 「そっちのほうが、誰かに見られたら誤解を招くし、もっとまずいのでは?」


 「大丈夫。セキュリティは確実だから」


 「……」


 一抹の不安があったが、参月姫は一緒に行くことにした。


 こんな再会をした直後、どんな展開になるのか分からなくて怖くもあったけど。


 何より今ここで、優雅の手を放すことはできなかった……。
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