四百年の誓い
 その後隙を見て、先ほどまでいたログハウスに戻り。


 隠れ家のような物置で、天窓から注ぎ込む金色の月明かりを浴びながら久しぶりに愛を確かめ合った……。


 「……」


 夕べの記憶が思い出され、体の奥が再び熱を帯びる。


 「ほら、着いたぞ」


 甘い余韻に浸っているうちに、車は美月姫の家の前に到着していた。


 ほんの24時間ほど前、もう二度と戻らない覚悟で玄関を飛び出したのが嘘みたい。


 わずか一日の間に、あまりにも色々なことがありすぎた。


 「せいぜい話を合わせておくんだな。俺という申し分のない婚約者がありながら、他の男と浮気を平然とするだらしない娘と思われたくないのなら」


 京は美月姫の両親にも気に入られている。


 台本通り、「外出先で丸山家のホームパーティーに急に呼び出されてそちらに向かった」。


 「携帯電話のバッテリーが切れたため、美月姫自身は連絡できなかった」という理由で、代わりに丸山幹事長が昨夜のうちに直接美月姫の父親に許可を得てあるという念の入れ様だった。


 そして美月姫はお酒を振る舞われ、夜も遅くなったため、紫と一緒にログハウスに泊まったことになっていた。
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