四百年の誓い
 「丸山幹事長の記事か」


 美月姫の読んでいた週刊誌のページに、丸山乱雪の写真が掲載されているのが見えたのか。


 父が幹事長について語り出した。


 「最近ますます、暴走に拍車が掛かっているようだ。まさに生き急いでいる感じ」


 美月姫も最近、新聞やテレビニュースを見て、同じことを感じていた。


 「昔からワンマンなやり方だったけど、最近さらに著しい。まさか余命何年とか宣告されて焦っているとか」


 「えっ」


 父親の推理に驚くと同時に、美月姫の中にもやもやとした気持ちが膨らむ。


 不謹慎だが、もし丸山の身に何かがあれば。


 優雅との関係に対して、最大の障害は消失する。


 そんなことを願ってはいけないことは、十分に分かってはいるのだけど……。


 「だけどこんなに元気そうだ。病気説はありえないな」


 ちょうどその時、夜9時のニュースのトップに丸山幹事長の画像が流れた。


 いつも通りエネルギッシュで、元気そう。


 病気のはずなどなかった。


 「そういえば高校の時の美月姫のクラスに、幹事長の隠し子がいたな」


 父がいきなり優雅の話題を出してきたので、美月姫は驚いた。
< 271 / 395 >

この作品をシェア

pagetop