四百年の誓い
薄紅色の記憶
***


 「えっ、丸山幹事長が次の選挙に立候補しない?」


 「それって引退ってことだな」


 「年末の襲撃事件、命に別状は無かったけど、重傷だったもんね。今後の活動に影響が出たんだろう」


 「ここは幹事長の地元だ。これからどうなっちゃうんだ……」


 美月姫と優雅は、駅近くのファストフード店で軽く朝食を取っていた。


 すると横に座っていた、草野球の帰りと思われる男性の集団数名が、丸山幹事長の話題をしていた。


 嫌でも耳に入ってくる。


 ……昨日のニュースで、幹事長の次期衆議院選挙不出馬が正式に発表された。


 昨年末の襲撃事件以来、未だ万全の状態ではない日々が続いている幹事長。


 現代の最高水準の医療が施されているはずなのに、負った傷が思ったより深かったようだ。


 いや、傷はいずれ完治するはずなのに……。


 「幹事長は今まで、派手にやりすぎたからな」


 「そろそろ潮時かもな」


 男たちはここに幹事長の隠し子がいるとも知らず、話を続けていた。


 「……」


 美月姫は心配そうに、優雅を見つめた。
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