四百年の誓い
 「そうだ、幹事長には隠し子がいたな。しかも地元の学校に通っていたはず」


 美月姫が心配していた通り。


 彼らの話題の矛先は、優雅へと向けられた。


 「その隠し子とやらが、幹事長の跡を継ぐんだろうか」


 「当たり前だべ。世襲だ世襲」


 彼らは決め付けていた。


 「結局北海道南部が丸山王国であり続けることには、変わりはないんだな」


 「だけど隠し子が、幹事長同様の政治力を発揮できるのかね」


 「後援会次第だべさ」


 「大丈夫なのか? 幹事長の子供とはいえ、愛人の子供だろ? 昔ならともかく、今は政治家とはいえそういうのは許されないんじゃ」


 「叩かれるかもな。マスコミに。幹事長の勢力が衰えれば、今までみたいには圧力をかけられないだろうし」


 彼らの会話は続いていた。


 「……美月姫、食べ終わったね。そろそろ出ようか」


 優雅は伝票を手に、立ち上がった。


 そしてレジで会計を済ませ、駐車場へ向かう。


 美月姫も後を追った。
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