四百年の誓い
 「天気がよくてよかったね」


 今日も美月姫がハンドルを握り、車は国道228号線を西へと進んでいる。


 北斗市(ほくとし)、木古内町(きこないちょう)、知内町(しりうちちょう)、福島町(ふくしまちょう)を通過し。


 函館湾岸から津軽海峡の海辺の道をひた走り、一時間ちょっとで松前町(まつまえちょう)に入る。


 彼らは松前町の福山城へと向かっていた。


 二人の原点でもあり、遠い思い出の地である福山城。


 今日の未明、共に前世の鮮烈な夢を見た。


 目覚めて後は、現世の記憶に上書きされてしまい、未明の夢の詳細な内容は覚えていない。


 だが福山城が近づくにつれて、胸の高鳴りを感じていた。


 だいぶ前に、満開の桜を見物に行こうと決めたにすぎないのに。


 ますます高まる焦燥感を説明できずにいた。
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