四百年の誓い
 優雅の一言に、美月姫は完全に目が覚める。


 もしもこのことが優雅の父である、丸山幹事長の耳に入ったら?


 「美月姫には、迷惑がかからないようにする」


 不安を察知したのか、優雅は再び美月姫を優しく抱いた。


 「今すぐには決断できないけど。もう美月姫なしの人生には戻れないから」


 「私も」


 二人の関係が、丸山幹事長の耳に入れば。


 どういう事態が引き起こされるか、正確には判らない。


 ひたすら見えない影に怯えるのみ。


 かなり大変なことになるのは間違いない。


 だがこの時、二人はまだ若すぎて、二人の仲を隠すことで互いを守り合うくらいしか術がなかった。


 「そろそろ行きましょう」


 このまま一日中一緒にいたい。


 とはいっても日常生活をそっちのけで過剰な愛を注ぎ続ければ、破滅の日が近まることを予期して美月姫は自重した。
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