四百年の誓い
 「好き……」


 最後のキス。


 春の夜は短い。


 夢のごとく、流れるように過ぎ去ってしまう。


 二人は未だ離れられずにいた。


 終わりにできない。


 いつまでもこうしていたい。


 だがもう日付はとっくに変わっており、月曜の朝を迎えている。


 優雅は午後から大学に顔を出さなければならず、それに間に合うには朝一番の飛行機で出発しなければならない。


 それにはここを、六時過ぎには出発しなければ……。


 「帰りたくないな」


 それは美月姫も同じだけど。


 「日常生活に影響が出てはまずいし。また来週」


 美月姫はようやく優雅の腕から身を離した。


 「そうだね。今はまだ……ばれたらまずいし」
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