Office Love
美咲ちゃんの情報掴もう思て、彩葉ちゃんをランチに誘う。


「彩葉ちゃん、今日、一緒にお昼食べへん?」
「いいですけど、誤解されますよ。想い人に。」


この子はほんまに僕の一枚上手行くんちゃうんかな思うくらい頭が切れる。


「ほな、真子も誘おか?」
「わかりました、では、連絡しておきます。」


携帯片手にカチカチ操作して真子に伝える。
数秒もせーへん間に真子からの返事。


「今日は九条とお昼だそうです。」

えっ?ええの?君、それでええの?
淡々と事務連絡の様に、自分の彼氏が違う女とランチすることを伝えて来るから僕びっくりして、声が出んかったわ。
そないな僕見て、クスクス笑う君はほんまに意地悪やね。

「打ち合わせを兼ねているらしいので、ご一緒できないと。」

何で君はそれを先に言わへんのや?

「そうか。ほな、しゃーないな。二人で行こか?」
「けど、それでは他の人達に・・・・・」
「大丈夫や、僕らも打ち合わって事にしとこ。」

社員食堂で二人で食べればそれこそ噂になるな。なんて、ほくそ笑みながら。
きっぱり、

「外に行きしょうね。」

言われてしもたわ。

「なぁ、美咲ちゃんって天然なん?」
「んー、どうでしょうね。」
「僕な、今日、美咲ちゃんに僕の最上級の声使って名前呼んでみてん。2回もやで、2回も!」
「それでも堕ちなかった、と言いたいんですか?」

クスクスと俯き加減に笑ろて、目の前のコーヒーに手を伸ばす。

「彼女、百戦錬磨ちゃんなんです。」

は?今、なんて言うた?あまりの衝撃に、僕、めっちゃアホ面してたはず。

「彼女、すっごい計算高い女で、狙った男は絶対逃さないって子なんです。所謂、小悪魔?的な。」

淡々と話す彩葉ちゃんの動く口元しか見られへんくらい、この僕が動揺しとる。
そんな僕を置いてけぼりにして、彩葉ちゃんは話続けとる。

「だから、市埼さんのその最上級の声も聞こえてて、聞こえてない振りしてたんですよ、きっと。」

もうなんか、ノックアウト。失神寸前。

「どうしました?市埼さん?」

おーいって僕の目の前でヒラヒラ手振ってるけど、僕の今の心ん中、どないなってるか、わかってるん?

「市埼さんッ!!」

彩葉ちゃんのキツイ語尾にこっちの世界にやっと戻って来れた。

「ほんまなん?」
「はい、もちろん。私の直属の後輩ですよ。九条のことなら何でも知ってます。」

と、ふと思った疑問。
そんな小悪魔な子、自分の彼氏のアシスタントに就けるか?
もしかしたら、横恋慕されるかも知れへんのやで。

「彩葉ちゃん、そない僕に意地悪しいなや。」

クスリと口角を上げ、彩葉ちゃんの顔を見れば、バレましたか?と言わんばかりに舌を出してた。




< 15 / 51 >

この作品をシェア

pagetop