Office Love
「よう!皆さん、頑張ってますか?」
「真子に修兵。何やのん。邪魔せんといて。」


言葉とは裏腹なギンの顔に空いてる椅子にドカリと腰を下ろす。
チラっと貴井に視線を向ければ、修兵をしっかり捕らえて微笑んどる姿が目に入る。
何も心配する必要あらへんやんけ。
ほんま、修兵もどっぷり貴井に堕ちたもんやな。


「平川さん?」


ぼーっと、貴井眺めてたら、彩葉に不審がられたわ。
そら、他人の女眺めてたらあかんわな。


「おぉ、すまんすまん。で、上手くやっていけそうか?」
「はい、みなさん、とてもイイ人達なんで大丈夫だと思います。」
「そうか・・・・」



*******


彩葉と貴井が新プロジェクトに借り出されてから、なんや修兵とおる時間が長ごうなった様な気がする。
今も二人で休憩スペース満喫中や。


「新プロジェクトの事、何か聞いてるか?」
「あー、忙しそうにしてるさかいな。もうここ何日も話しすらしてないわ。」
「俺も・・・。それで良いのかよ?」


どこを見るでもなく、目の前に立ち上る紫煙を眺める。


「来たのか?」


修兵のその質問は主語がなくても、内容がなくてもわかる。


「来てないわ。」
相当忙しんだな。


そう修兵は呟いてコーヒーの入った紙コップをクシャリと潰す。


合い鍵を渡して10日。忙しんはわかとるけど、疲れとるんもわかっとる。
しゃーかて、仕事帰りにちょっとは来てもええんちゃうか?思てるとこもある。
俺がおらんでも入れる様に渡した合い鍵。
全く意味をなしてない。


「お前はどないなん?」


人に聞いたからにはお前の事も話せよと言わんばかりに聞いてやる。


「新プロジェクト入りが決まった日・・・・」


修兵はそこで話を止めよった。
ん?と、不審な目で見よったら、盛大な溜息吐きよった。
けど、その溜息に色気が含まれてる事を俺は見逃せへん。


「おぉ?なんや?なんかあったんか?」


暫しの沈黙。
徐に話し出す修兵。


「家に誘ったんだよ。初めて。」


おぉ、進展してるやんけ。「で?」


「で・・・・」


何を勿体ぶっとるねん。
どこぞの女子高生か?
乙女か?
意味わからんやんけ。

・・・・・・・・・・・・

沈黙かい。
だんまりかい。
どないしたいねん!!!


「お前なぁ、JKか?乙女か?何を勿体ぶってるねん!」
「すまねぇ。勿体ぶってるとかそんなんじゃねぇんだ。何から話していいやら・・・」


そないに思い詰めるほどなんか?
何があったんや?


「長なるんやったら、今日飯でも食いに行くか?どうせ、彩葉も貴井も残業やろ。」
「あぁ。」



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