Office Love
車を走らせて1時間。
目的の地に着いた模様。


「ここや。」


と、降りてみれば、大きな十字架が掲げられた教会だった。
クリスマスミサが行われているらしく、たくさんの人が集っていた。


「俺、クリスチャンちゃうけど、今日くらいええやろ。」


ニヤリと笑いながら手を差し出して来た。
その手をゆっくりと握り返し、そっと寄り添う。
讃美歌がパイプオルガンから流れる聖堂の中、一番奥の席に座る。


パイプオルガンの音に耳を傾け、ゆっくり心を落ち着かせる。
前から神父様が歩いていらして、ふと私達の前で止まる。


「神のご加護がありますように。お二人の良き日に、こちらの教会でお逢い出来ること楽しみにしております。」


そう言って歩いて行かれた。
私の指にはダイヤのリングが。真子さん指には何もない。
神父様には私達の関係はお見通しらしい。
少しうれしくなって、真子さんの方を見たら、真子さんのその真剣な眼差しの先には大きなマリア像が私達を温かく見守ってくれていた。


「幸せになろな。一生離さへんで。」


握られたその手から力強くそして優しい愛が流れ込んできた。

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