あの日、あの時、あの場所で。
「でもも何もないの!
今は、杏奈の無事を祈るの!
そんなことしたって誰も助からないよ…っ!」

「あぁ。そうだな…恭。悪かった…」

「俺も。偉そうなこと言えねーわ笑
杏奈が生きていてくれればいいんだ…」

「え?恭太って杏奈のこと好きなの?」

「なわけ笑」

「顔真っ赤なのに?」

「ばっ、ちがっ!」

「あはは笑真っ赤だ笑」


その時、手術中のランプが消えた。


中から苦しそうに呼吸をする杏奈が出てきた。


「蓮也君と言ったかな?」

「俺ですか?」

「あぁ。」

「どうかしましたか?」

「杏奈ちゃんがね。全身麻酔する前に、薄ら目を開けて、蓮也…って苦しそうに呟いたんだよ。もしかして君は彼氏かな?」

「い、いえ…」

「ふぉっふぉっふぉっ。
そうかい、そうかい笑では、そこの子かな?」

「俺ですか?」

「そうそう。君だよ」

「いえ…違います…」

「おや?違ったか笑
じゃあ、そこのお嬢ちゃんはそこの坊ちゃんとカレカノかい?」

「い、いえ!」

「おい、美穂。否定すんなよ。じみに傷つくんだけど…」

「あ、ごめん…」

「まぁ、いい笑ふぉっふぉっふぉっ」

「どうしてそんなこと聞くんですか?」

「こないだの検診の時にね。
杏奈ちゃんが久しぶりに笑ったんだよ」

「杏奈が、ですか?」

「ふぉっふぉっふぉっ。そうだよ笑
だからね、どうしたのか聞いたんだよ」

< 74 / 114 >

この作品をシェア

pagetop