不器用な愛を刻む
その外では
例の2人が
気まずそうに帰り道を歩いていて
すっかり外は暗くなり
少々物騒な雰囲気が感じられた。
しかし、住む家から
茶屋はそれほど離れていないため
そんな不安はすぐに無くなる。
───ガラガラ…
到着し、家の戸を善が開けて
先に中へと入っていく。
その後を追いかけるように椿が入り
そのまま戸を閉める。
「………あ、あの…善様。」
「…何だ?」
「…あの……えっと、その…。」
とうとう椿が耐えきれず
沈黙を破るように
善へそう声をかけた。
それに対して善は
視線だけを、椿に向ける。
「……もしかして私…
何か、致しましたか…?」
「………。」
声が震えるのを我慢して
椿が善へ、そう尋ねた。
そうであるなら言って欲しいと言う椿に
善は少々黙ってから
自分の頭を、軽く掻く。
(………はぁ、ったく…。)
善は心の中でため息を吐きながら
向けた視線の先に立つ椿の
不安そうな顔を見て
渋々…本音を口にする。