不器用な愛を刻む
次の日も
昨日と同じように
茶屋に行き、働く2人。
椿は自分の行動に気をつけながら
仕事を進めていくが
善はいつもと変わらず
悠々と仕事をこなしていた。
───もちろん、女性客が主に相手。
「すげぇ……。
善さんって本当 女から好かれるのな。」
そんな様子を眺めながら
景次は感心するように
椿にそう言った。
椿は「…そうですね。」と
少々苦笑いをしながら
返事を返す。
善が女性客に好かれて
良い気分がするわけがない。
しかしそれをあからさまに責めるわけにもいかず
何も言わないのが椿。
ただ不安を持ちながら
仕事をこなしていく。
「……あ、そうだ椿さん!
ちょっと俺の手伝いお願いできねぇか?」
「…え??」
そんな時
ふと景次が椿の方へ顔を向け、
笑顔でそう言う。
手伝い…って、何のだろう?
椿はそんな疑問を抱きながらも
役に立てるなら、と
彼の要望を承諾した。
景次はその返事を聞くと
さらにニカッと笑って、
椿の頭に手を置いた。
「ありがとな椿さん!助かるぜ!」
そう言いながら
優しく彼女の頭を撫でれば
椿は少し驚きながらも
どこか少し安心するような
気持ちを覚えて
優しく、ふっ…と笑みを浮かべた。
(─────っ!)
そんな2人の様子を見て
善は不意の出来事に
密かに息を飲んだ。