不器用な愛を刻む
それから裏口から店を出た
椿と景次は
足りない食材を買いに
町中へと出た。
「お使いだと言ってくだされば
私1人で買いに行きましたよ??」
「いやー俺もちょいと休憩したくてさ!」
ズル休みだけど
たまには息抜きしないとなー!
そう言いながら
ケラケラと笑う景次。
椿もそれにつられて
クスクスと小さく笑う。
そのように
いつものように賑わっている町を
歩いていれば
目当ての八百屋に着いたと同時に
後ろから
軽くギュッ、と
椿は肩を抱かれた。
(えっ、何!?誰───!?)
隣にいた景次も
ギョッとしながら
椿のそんな様子を目にする。
椿が 驚き振り返えると───
「やっぱり。椿ちゃんだ。」
「き、喜一さん…!!」
"あの日"以来の
喜一が立っていた───。