不器用な愛を刻む






代々高貴な地位を占めていた
彼の血族は



この事件を目にして



それを表沙汰にすることはなかった。









両親は病死ということにされ


何事とされることはなく葬られた。








そして










「………2度と、姿を見せるな。」











-----少年は 絶縁された。







家を追い出され

行く当てもなく彷徨う結果となった彼が
辿り着いた先










それが───屯所(たむろしょ)だった。









夜道を歩きまわっていたところを
そこの隊員に保護され


始めは迷子として扱われていた。







しかし


何をしても親が見つからない
彼のことを


後々、引き取ることになる。










──それは例外な出来事だった。









何故屯所が

里親を探さずに
彼を引き取ることにしたかと言うと










「……坊主。
お前その刀捌き…どこで習ったんだ?」

「………自分で覚えた。」









たまたま竹刀を貸して

チャンバラでもして
子守をしようとした隊員が



彼の動きに目を見張って
そう話をしたのが始まりだった。








その隊員はすぐに上司に
彼の様子を見させて



『素質がある』



と、少年を擁護したのだ。









少年の動きを見て

それに納得した組織は





彼を育てあげ


将来 戦力にすることを決めた。



























───それが





後々 バケモノと呼ばれる男になるとは



この時、誰一人思ってもみなかった。









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