不器用な愛を刻む
───そんな光景が
つい昨日のことのように思えてならない。
愛されず
罵倒される毎日に嫌気がさして
何の感情もなく親を殺したあの日---。
そうして家を追われた自分を
拾った隊員と出会った日。
そして正式に引き取られ
修行に明け暮れた毎日。
そうして隊員になり
喜一と出会った。
自分に付きまとうように
後ろをついてくる喜一を
いつの日からか
友人として当たり前のように接し
受け入れていた。
そして彼らと共に
あの"改革"を起こすために戦い
---そして
多くの仲間との永遠の別れを経験した。
そしてやがて自分は屯所を出て
ただ1人で…生きてきた。
解放されることのない
あの『孤独』を背負ったまま──。
(…………嗚呼 俺は……)
こうしてずっと1人のまま
死んでいくんだろうな
と
そう思っていた。
「……貴方には関係ないでしょう。
それにもう…夜歩きなんてこれが最初で最後ですから。」
───彼女と、出会うまでは。