続★俺だけの家政婦さん

神様はどっちの味方?

「はぁ~~緊張する」

今日から担当するお客様は私が今一番好きな作家の野島景さんだ。

しかも住込みなんだもん緊張しないわけがない。

昨夜母、いや所長から野島景さんの自宅のスペアキーを受け取った。

宝物を扱うように両手で握りしめる私を見て、所長は少々不安げ表情。

娘が住込みで働く事が心配なのか、それとも単に私が野島景のファンで

公私混同するんじゃないか心配なのか……恐らくその両方。



もちろん、仕事なんだから公私混同はしないと決めてる。

ちょっと……いや、ほんのちょっとだけ自信がないけど……

だって、ずっと憧れていたんだもん。彼女の作品に出てくるヒーローは

長身で、イケメンでちょっと俺様。だけどここぞと言うときにヒロインに

甘い言葉と、とろけるような愛情表現に読み手の私のハートはずきゅんのどきゅん

で打ち抜かれちゃうんだよね~。

女心を熟知しているのは同じ女性だからこそなんだけど

とにかく、どの作品も読み終わった後に幸せな余韻に酔いしれるのだ。

そんな素晴らしい作品を書く、野島景さんの近くで働けるなんて

担当編集さんぐらいだと思っていたけど神様が私に味方してくれたんだよね。

しかもよ、野島景さんが家政婦の取材も兼ねて住込みを希望したのよ。

あ~~興奮する。
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