続★俺だけの家政婦さん
何だろう・・・

この人ってやっぱり高校から全く成長してないんだと思った。

私は腕組みをしながら野末くんを見上げると大きくため息を漏らす。

「あのさ~昨日の安田さんもそうだし小島さんもだけど、野末くんって

女心ってもんが全くわかってないよね。何でわざわざ電車のってここまできたと思う?

なんで保存容器にまで入れて手料理持ってくると思う?

野島景に好意を持ってるからでしょ?」

「は?」

「は?じゃないでしょ。よくそんな態度とっておいて
、ズキュンでドキュンな小説書けるよねしーんじられない」

別にどちらかの味方をしているわけではない。

ただ同じ女として野末くんの態度は許せなかった。

「お前も相当なバカだな」

「はあー?」

この後に及んでバカとなに?

野末くんはキッチンにもたれかかると腕組みをしながら呆れ顔で視線だけを

私に向ける。

「あのな~お前は家政婦としてここにきたから知らないだろうけど、俺は
小説のアイデアが浮かんで書き出すと、時々没頭しすぎて飯を食うのも
忘れちゃったりするんだよ!だから俺の性格をわかってる担当は
気を遣って食べもん持ってきてくれてんの。それは小島さんに限らず
他の出版社の担当も同じ」

う~~~~そう言われると、そうなのかと納得せざるを得ないけど・・・

でもね、あの手の込んだ料理を単なる差し入れだとは思えない。

同じ女としてはね・・・

「へ~~」

どうしても納得いかない私は適当に返す。

野末くんは私の納得してなさそうな返しに不満気な表情を見せながら

紙袋をぶんぶん振り回しながら再び書斎へと向かった。
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