あなたの愛に深く溺れてしまいたい
会社に戻った私は「先輩、デートどうでしたぁ?」と言う前田ちゃんに、キッ!と睨みつけるとスルーして仕事に取りかかった。


あー、やっぱりやることが多すぎる…。


あの男が私を連れ回さなかったら、終わる目処がついてたはずなのに。


意味のなかったあの時間を今すぐ返してほしい。


「先輩、手伝います」

「前田ちゃん?」


猛スピードで仕事をしていく私に、横から小さな声で言う前田ちゃんにビックリして首を傾げた。


「先輩、今日飲みに行きたいって顔に書いてますよ」

「バレてる?うん、誰かさんのせいでストレスが溜まって。飲みたくて飲みたくて仕方ない」

「やっぱり。そんなに嫌ですか?柴咲課長」

「嫌に決まってるでしょ。今日だって私を連れ出したくせに、私は用無しで、10年10年しつこいくらい言ってくるし、もう顔も見たくないよね」


何か思い出しただけで、またイライラしてきた。


「そうですかぁ。柴咲課長と先輩、二人の立ち姿とか結構良かったんだけどなぁ」

「やめてよ」

「でも、みんな言ってましたよ?二人出て行ってから」

「嘘でしょ…」

「とりあえず手伝います!で、しこたま飲んで来てくださいね!」

「……ありがとう」


前田ちゃんは私が飲みたい時は一人にしてくれるから助かるんだよね。それにしても、私たちがいない間にそんな会話をしていたなんて…。


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