あなたの愛に深く溺れてしまいたい
***


「前田ちゃん、本当ありがとう!助かった!これで飲みに行ける!」

「いいえ、先輩のお役に立てたみたいで良かったです!今度は私も一緒に飲みに連れてってくださいね?」

「もちろん。私はご覧の通りいつでも暇だから、前田ちゃんの空いてる日教えてね」


前田ちゃんのおかげで、今日中に終わりたかった仕事を終わらせることができ、「お先に失礼しまーす!」と、前田ちゃんと二人大きめな声で言うと「お疲れー」と、残ってるメンバーに声をかけられ、私たちは会社を出た。


「じゃあ、先輩!また明日です!」

「うん、また明日ね。お疲れ様」


前田ちゃんと別れ、私はルンルン気分で行きつけの居酒屋へ直行した。


「いらっしゃーい、あー雪乃ちゃん!久々だね!」

「お疲れ様です。ビールください、飲みに来ました」

「あはは!まだ席にも座ってないのに、ビールなんて相当嫌なことあったでしょ!」

「……まぁ」


ここの居酒屋は、もちろん個室もあるけれど、大将と話したい私は必ずカウンター席へと座る。


ここは、たまたま発見した居酒屋で、ストレスが溜まると決まって飲みに来ていた。


だからもちろん、こことも10年来の関係だ。


「どうしたのさ、そんな眉間にしわ作っちゃって!綺麗な顔が台無しだよ?」

「……綺麗ではないです。でも、すっごい嫌な奴が上司になって、もう本当に嫌気が差してるんです!」

「それって、柴咲のこと?」

「そうですそうです!……って、え?」


思わず〝ウンウン〟頷いたけど、大将の声じゃないことにビックリし、慌てて横を見た。


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