あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「やぁ、また会うと思わなかったよ。運命の出会いかな?」

「……松谷課長?!」


帰りの車の中で貰った名刺を見ると、この人も課長だった。


だから私は今〝課長〟と付けてみたんだけれど…。


「運命の出会いって、謙は既婚者でしょ。はい、雪乃ちゃんビール」

「あ、ありがとうございます」


大将からビールを受け取ると、いつもならすぐ口に付けるのをテーブルに置いてしまった。


「大将、俺んとこ、うまくいってないの知ってるでしょー?ね、雪乃ちゃん。隣で飲んでもいい?」

「え?あ、はい。も、もちろんですっ」


別にドキドキしてるわけじゃない。


今日初めて会った人に、偶然会ったんだ、しかも課長という立場の人に。


そりゃ、ドキドキもするでしょ。違った意味で。


って言うか、見る暇もなかったけど、左手の薬指に指輪してる…。


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