あなたの愛に深く溺れてしまいたい
よく〝初めまして〟の人に『春野さんって、春と雪どっちが好きなの?』なんて聞かれたりして、正直もう愛想笑いもできなくなるくらい飽きていた。


だけど、登俊は違ってて。
『俺の名前に〝夏〟が入ってたら俺らだけで四季が楽しめたのにな!』って言ってくれて笑ったのを今でも覚えている。


恋愛すらしてこなかった私が、登俊の何気ないこの一言で、いつの間にか好きになっていて、気が付けば彼を追いかけ、私の気持ちに気付いた彼が『付き合う?』って言ってきて、私は二つ返事でOKした。


今思えばチャラかったのかもしれない…。


けど、今までそういう男(ひと)とも出会えてこなかったから、私は飛び跳ねるくらい嬉しかった。


周りの同級生は結婚して子供もいて、幸せな生活を送っていて。


たまに会えば育児の話と旦那の悪口。


正直、どうでもいいとすら思ってしまう。


でもそれは相手も同じのようで、私が仕事の愚痴をこぼすと、あまり興味がなさそうに感じる。


そして極め付けにはこんなことを言われる。


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