理想は、朝起きたら隣に。

「元気元気。そうそう、もう話しかけたか? お前の確か美――」
「っち。声が大きい」

二人の声が漸く聞こえなくなったのを期に私は再びドアに手を伸ばす。

「お願い! 帰らないであげてっ」
「……今日はもう本当に無理」

優衣のせっかくの一生に一度の幸せな日なのだから我慢しなくちゃいけないのは分かってる。優衣を不安にさせたり楽しい空気に泥を塗ったらいけないのも分かってる。

けど、私は今までもう散々我慢してきた。
もういいじゃない。
お願いだから私にも逃げ出させて。

オロオロと顔色を変える優衣に強く言えなくて、気まずいままドアを開けようとしたら、遠くから兎のように素早く新郎の比呂さんが飛んできた。


「すいません、佐々木美春さんですよね」
「そうですけど」
「ビンゴゲームのカードです。これだけでもして帰って。俺たち明日から新婚旅行だし景品残ったら荷物になって困るんです」

真ん中のステージで、幹事の人たちが景品をどんどん披露していく。

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