理想は、朝起きたら隣に。


「一位は俺が頂く!」

会場に戻れば林田さんがそう騒いでいた。
それを周りが囃してて、気付けば私の短大時代の友人たちもその賑やかさを近くで見ている感じ。時折何人か他愛もない会話をする。

飲み物を待っていたたった短時間の間にこんな雰囲気になっていて輪に入りづらく、隅っこで立って両手でお酒を持ってぼーっとしていた。

すると、何故か林田さんたちの騒ぎをスルーし、彼が少し距離を置いて隣に立った。

同じピーチウーロンを見たら吹きだしてしまいそうで、視線は向けなかったけど、でもなんで敢えて隣に来たのか分からない。


いつもブラックコーヒーとかジントニックとか飾らないけど彼らしい素朴な感じの飲み物を飲んでいた記憶がある。

とくに彼が入れる珈琲は香りが深くて美味しかった。

「……」


なんで隣にいるのにこの人は何も喋らないのだろう。


さっきまで会いたくなかったとバクバクしていた心臓が冷えていくのが分かった。


< 17 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop