⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
………

「フフッ、私は最初からあなたを信じてましたよ?」

ぼんやりと後ろ姿の残像を見つめていた俺に、燈子が軽く肘打ちした。

「フン……どうだか」

彼女を引き寄せ、人差し指で顎を掬う。

と、チョイチョイとフユキがスーツの裾を引っ張った。

「ん?何だい?フユキ。お父さんはちょっと取り込み中…」

「ハイ」

振り向いた俺に、ボロボロに使い古されたノートを手渡すと、ニコニコと嬉しげに見上げている。


何なんだよ一体。



『toko's deth note』
(トーコのお恨み帳)



「………」
「あ!」

気づいた燈子が、固まっている俺からバッとそれを奪い取った。

「もうっ、フユちゃんったら…
へへへ…

いっけない、もうこんな時間!

じゃ、行ってらっしゃーい、アっキトさん♥」



……何か、怖いもの見た。
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