⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
「じゃあね、サヨナラ」

ベッドから立ち上がり、ハンドバッグを掴んだ彼女の後ろ姿を、ゆらりと立ち上がった男が羽交いにした。

「わ、分かった。
だが…もう1度、もう1度だけ…思い出が欲しいんだ。
愛美ちゃんお願いっ、最後にヤらせてっ!」

男はそのまま彼女を力づくでベッドに連れ戻す。

馬乗りに、組み敷いた肩を押さえると、余裕のない様子でジャケットを脱ぎ、女の胸元を貪ろうと顔を近づけた。

(…クズ野郎が)

見上げた女が酷薄に笑った。

「あのぉ、ヤマモト課長補佐?
実はこの部屋のどこかにね、ビデオカメラが仕掛けてあるのよね…」

「な…何だと?」

彼女は急に、眉をハの字にしかめて、哀しげな顔を創った。

「き、キャーっ‼ヤメテイヤ‼」

自らブラウスを裂き、大袈裟な悲鳴を上げる。

「きき、君は一体…な、何を⁉誤解だ、これはっ!誤解だ、これは彼女が勝手に」

彼は慌てて彼女の上から避け、己の乱れた衣服を整えて、視線をうろつかせながら、いい訳を始めた。

「…なーんてね」

美しい顔が愉悦に歪む。

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