「ただ、隣に居たいだけ。」
【好き、違い】

_____また……?


授業中は、うわの空だし
携帯ばっかり気にしてるし。

家でも、ご飯とか食べたらすぐ部屋だし…

最近の未空は、明らかに、おかしい。


「付き合い始めたんだ? 良かったねっ!」

そんな疑問を、いとも簡単に解いたのは〝榎本〟の声だった。

階段を上って曲がろうとしたとき、聞こえてきて、とっさに隠れてしまった。

こっそりと覗き込んで見ると、そこに居たのは、未空の親友の〝榎本〟。

そして、嬉しそうに照れ笑いを浮かべる〝植田〟と〝未空〟の二人の姿。


あの二人、付き合い始めたのか……

チクン、と針が刺さったような痛みが走ったような気がした。


「未空のこと泣かしたら許さないからね」


……そっか、未空を守るのは、〝俺〟じゃない。 〝兄〟の俺じゃない。

なんだか寂しい気持ちになって、涙が出そうになるのを必死で堪えた。


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