「ただ、隣に居たいだけ。」


何か話そうにも話題が見付からない。


「ねぇ、さっき何で泣いたの?」

沈黙を破るように問いかけてきた。

「…あ、言いたくないならいいよ。ただ心配で。あんなに泣いてるの初めて見たから。」


〝すごく辛いことがきっとあったんだね〟

一言だけ発して、無理には聞かないからね、という様子で、ただ側に居てくれる。

実際には、距離は離れてるのに
〝寄り添ってくれてる〟ような、優しいぬくもりを感じた。


〝あの日〟の出来事___
未空になら、話してもいいかな。


「あのさ……」

思い出したくない〝過去〟を
言葉に詰まりながら話し始める。

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