「ただ、隣に居たいだけ。」
【ただ、隣に居てほしいだけ】

「落ち着いた?」

しばらく泣き続けて、一呼吸したとき未空が心配そうに覗き込んできた。

ドキッとして、ぱっと離れた。
二人の頭をよぎる〝キス〟___。


「ご、ごめんっ! 心配かけて…」
廊下で泣いたのを思い出して、穴があったら入りたいぐらいの気持ち__。


「……入る?」

何か聞きたそうな様子で
部屋に戻ろうとする俺の服の端を掴んできたから、とっさに言ってしまった言葉に後悔したけど遅かった。

でも、予想とは違って静かに頷いて部屋に入って腰を落とした。


ドキドキが伝わってしまいそうな空間に
どうすればいいのか、と戸惑うばかり。

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