それを愛と呼ぶのなら
ハイヒールを脱ぐ私を、真尋が軽く手を挙げて迎え入れる。

その様子に、ホッと胸を撫で下ろした。


この胸を締め付ける気持ちは必要ない。

私達、運命共同体に戻ろう。


「ご飯は?食べた?」

「や、まだ。お前は?」

「私もまだ。何か作るわね」


ソファーの近くに鞄を下ろし、髪を束ねながらキッチンへと向かう。

その傍、真尋がベッドに腰を下ろしたのが見えた。


私達が定めたタイムリミットは1週間。今日はその6日目。

つまり、このベッドで眠るのは最後になる。

私達ふたりが明かす、人生最後の夜。


多くは望まないわ。

たったひとつ。たったひとつ、真尋がそこにいればいい。

それ以上は何も望まないから、どうか。




「ごちそうさま。美味かった」

「そ?よかった」


スパゲティを平らげたお皿を前に、真尋が律儀に手を合わせる。

そのまま立ち上がり、私の食器を重ねてキッチンに持って行ってくれた。
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