きみに、好きと言える日まで。
何を言うかと思ったら、昔話を始める耀くん。
おもわず吹き出した。
「ヨタロウは、とある町娘に一目ぼれしたそうな……」
「日本昔ばなし?」
「その娘は、マヨルという名で、毎日せっせと働いておった」
耀くんは、あたしのにも茶々に反応しないで話しを続けた。
「恥ずかしがり屋のヨタロウは、話しかけることも出来ず、マヨルのこと毎日遠くから見つめておったそうな」
……こんな話、あったっけ?
「あるとき、マヨルが怪我をして倒れているところへ、ヨタロウが遭遇し……」
「わっ、チャンス到来!」
日本昔ばなしさながらの語り口調に聞き入っていたあたしは、思わず声を上げた。
耀くんがふっと笑う。
「ヨタロウは一生懸命彼女のために手を尽くし、おかげでマヨルの怪我は大事に至らずに済み……」
「うんうん」
「見た目同様、真っすぐで心の綺麗なマヨルに、ヨタロウはますます惹かれていったそうじゃ」
「ふんふん」