花盗人も罪になる
「それで、手芸教室では何を作ったの?」

「エプロンよ」

「エプロンか。実用性があっていいね。どれ、見せて」

母はどうやらエプロンにレースを付けられなかったようだ。

「時間内にできなかったの?」

「おしゃべりが楽しかったのよ。香織、得意でしょ?ちょっと教えてよ」

なるほどと思いながら、香織は母にレースの付け方を教えた。

「香織も今度一緒に行ってみる?土曜日も予約制で行けるみたいよ」

母はバッグから手芸教室のチラシを取り出して香織に差し出した。

和裁、洋裁、羊毛フェルト……。

香織は挑戦したことのない和裁と羊毛フェルトが気になった。

「うん、行ってみたいなぁ」

「じゃあ電話してみるわ。今度の土曜でいいわね?」

土曜日と言われ、香織は少し考える。

大輔からのメールの返信はなかったし、気分転換に母と手芸教室に行ってみるのも悪くない。

「次の土曜日ね。空けとくわ」






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