花盗人も罪になる
カフェに入り空いている席に案内されると、二人ともホットコーヒーを注文した。

「それで、相談と言うのは……」

逸樹が早速話を切り出すと、円は少しうつむきがちに小さく息をついた。

「実は……最近気になる事があって……」

「何が気になるんですか?」

「会社からの帰り道とか、休みの日に出掛けた時とか、いつも誰かに見られているような気がして……」

円がそう言うと、逸樹はなるほどというようにうなずいた。

「それでさっき辺りを気にしてたんですね」

「はい……。この間は駅から誰かに後をつけられて、慌てて途中のコンビニに入ったんです。そこで友達に電話して、家に着くまで切らずに話してもらいました」

逸樹は運ばれてきたコーヒーを一口飲んで、これは俗にいうストーカーというやつだろうかと考える。

おおかた、一方的に別れを告げられた元カレとか、告白してもこっぴどくフラれて相手にされなかった男なんかに違いない。

「心当たりは……」

「いえ、まったく……」

彼氏はいないと言ってはいたが、円は誰がどう見てもモテそうだ。

本人は自覚していなくても、たくさんの男を勘違いさせている可能性もある。


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