花盗人も罪になる
「警察には相談しましたか?」

「いえ、まだハッキリそうとは言い切れないので……。友人に相談したら、よほどの事がないと警察は動いてくれないって言われて……」

確かに今の段階では、円の気のせいかもしれないというレベルだ。

この程度では警察は動いてくれないだろう。

しかし何かあってからでは遅すぎる。

「駅まで誰かに迎えに来てもらうとか、できませんか?」

「友達の都合が合えば来てもらえる日もあるんですけど……毎日となるとそれも難しくて」

円は頼りなげに呟いて、コーヒーカップを両手で包み込んでいる。

「だったら……残業は控えて早めに帰った方がいいですよ」

「そうなんですけど……。定時で帰ると、電車は帰宅ラッシュでしょう?その人がそこに紛れ込んですぐそばにいるかもと思うと怖くて……」

円はコーヒーを一口飲んで顔を上げた。

「それに、村岡主任と一緒に帰った方が安心です。背も高いし頼り甲斐がありそうだから」

意外なことを言われた逸樹は少し驚いた顔をして、コーヒーを飲みながら何か考えるそぶりを見せた。

「まぁ……事情はわかりましたけどね……。会社から駅まで一緒に歩くくらいは僕にもできますけど、駅まで迎えに来てもらえない日は、無理して残業せず早めに帰るようにしてください」

「わかりました、そうします」


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