憑代の柩
「尾行、得意じゃないんで。
私も何処ぞの探偵さんのように、すぐ気づかれそうな気がして。
彼は鋭いですからね」
「何が鋭い」
と要はそこで嗤った。
「不思議なもんですよね。
貴方と衛さんは、仲がいいんですか?
悪いんですか?」
「悪くはない。
良くもないが。
あのときまでは、ちょっとムカつくが気になる弟のように思っていたよ。
まあ、立場はあいつの方が随分上だがな」
「あのときって?」
「衛が馨に手を出すまではだよ」
「出してないと本人は言ってますよ」
「本当にそうか?」
「……私に訊かれても知りませんよ」
と眼を伏せた。
「何もないからこそ、母親が怒ったのか。
あったから怒ったのか。
いっそ、馨があの女が思ってるような売女だった方がよかったんだろうがな。
まあ、少なくとも、馨が俺より衛の方が好きだったのは確かだな」
私も何処ぞの探偵さんのように、すぐ気づかれそうな気がして。
彼は鋭いですからね」
「何が鋭い」
と要はそこで嗤った。
「不思議なもんですよね。
貴方と衛さんは、仲がいいんですか?
悪いんですか?」
「悪くはない。
良くもないが。
あのときまでは、ちょっとムカつくが気になる弟のように思っていたよ。
まあ、立場はあいつの方が随分上だがな」
「あのときって?」
「衛が馨に手を出すまではだよ」
「出してないと本人は言ってますよ」
「本当にそうか?」
「……私に訊かれても知りませんよ」
と眼を伏せた。
「何もないからこそ、母親が怒ったのか。
あったから怒ったのか。
いっそ、馨があの女が思ってるような売女だった方がよかったんだろうがな。
まあ、少なくとも、馨が俺より衛の方が好きだったのは確かだな」