俺様上司と身代わり恋愛!?
早い人はそのくらいの時間にくるみたいだけど、私は大体、八時半前に出社するようにしていて、それは預金課の他の人も同じだ。
でも、新入社員の高橋さんや今野さんは、もしかしたらそれくらいに来てるかもしれない、と思い、念のためエレベーターのことを注意しようとしたとき。
「あの……っ」と、高橋さんから声をかけられた。
場所は、出口まであと数メートルっていう社員用通路。
見ると、高橋さんは眉を寄せ私を見ていた。
「どうかした?」
「あの……私、茅野先輩に相談したい事があって……少し時間頂いても大丈夫でしょうか?
ここでいいんです。少し話したくて……」
随分深刻そうなところを見ると、だいぶ切羽詰まっているようだった。
表情を強張らせる高橋さんに「もちろん」と笑顔で頷いてから、でも、ここではちょっとととりあえず外に出た。
そして、社員用出入り口から50メートルほど先にある駐車場に移る。
駐車場は一応社員用ではあるものの、社員の八割方電車などの公共交通機関を使って通勤しているため、車で通勤している人はあまりいない。
だからここに来る社員はそうそういないだろうと踏んでの事だった。
本当なら、少し歩いてお店なりなんなり入ってから……と思ったけれど、高橋さんはどこかに移動してゆっくりという感じではないし。
思い詰めているように見えるし、早く聞いてあげる方がいい。
18時前の空は太陽こそ見えないものの、空自体はまだ明るさが残っていた。
薄暗いという表現をするにもまだ早い。そんな空の下、向き合うようにして立ち止まると、高橋さんと目が合う。
「話って何か悩み事?」
私に相談してくるってくらいだから多分、仕事関連だろうと思いながら聞くと、高橋さんが目を伏せながら言う。