俺様上司と身代わり恋愛!?
「仕方なくないだろ。おまえも志田が好きなのに自分から引いたり……」
「仕方ないんです。だって……私の想いよりも高橋さんの想いの方が大きく見えたんだから」
そこで一度言葉を切ってから、ゆっくりと言う。
「あんなに必死に志田さんを好きな高橋さん見ちゃったら……仕方ないじゃないですか」
ふっと苦笑いを浮かべると、課長は信じられないとでも言いたそうな顔をした。
「おまえだって、あんなに頑張って映画に誘ったくせに。先週の電話の冒頭十五分はなんだったんだよ。時間の無駄だったじゃねーか」
「……本当にそうですね」
電話の冒頭十五分の内容を思い出しながら、静かなトーンで言う。
課長は少し間を空けた後、もう一度「本当に馬鹿だな」と言う。
だけど……その声には、さっきみたいに呆れの感情は籠っていないように感じた。
穏やかで優しい声だった。
「……そうですね」
「否定しないのか?」
「今回の事に関してはできないです。でも……後悔はしてないからいいんです」
もう暗くなってしまっているメール画面を再び呼び起こしてから、送信ボタンをタッチする。
画面左上に表示された送信完了の文字をしばらく眺めてから、よしっと気持ちを切り替えて課長を見上げた。