俺様上司と身代わり恋愛!?
昨日はなんだか話が逸れてしまったけれど、本題はお見合いだ。
あの後、色々お互いの事を話すと、色々な事情がぽんぽんと出てきた。
まず、桐崎課長が笹川専務にお見合いを勧められたのは、課長が特定の恋人を作らずに、フラフラと軽い付き合いばかりをしていると知られたからだそうだ。
〝誰にも本気になれないのなら、いっそ見合いして身を固めてみたらどうか〟と言われたらしい。
上司命令でもあるそれに、〝いや女のつまみ食いは趣味なんで〟とはさすがに言えず、仕方なくという事だった。
そして、私の方は美絵に頼まれたからだけど。
お見合いの席の替え玉になって欲しいと頼まれたのは、実は昨日一度の事を指してじゃない。
行ってすぐ断ってきて欲しいというわけではなく、何度かふたりで会ったあと、性格の不一致として断って欲しいというのが美絵からのお願いだ。
理由は、今までも散々こういった話を断ってきたせいで、お父さんがご立腹だから。
今度はさすがに断れない、会うだけは会わないとマズい。
そして、会ってすぐ断ったのではこちらには最初からその気がないと知られて、またお父さんに怒られる。
となれば、何度か会ってこちらの誠意を行動でお父さんに見せた上で、たくさん悩んだ挙句の性格の不一致という理由で断りたい、というのが美絵の希望だった。
そして、その辺の希望に関しては課長も一緒だ。
笹川専務推薦のお見合いの手前、一度会っただけでごめんなさいはあまり好ましくないらしい。
やっぱり何度か会って、真剣に考えていると上にも知ってもらってから破談になった方が都合がいいと言う。